言葉のこと

言葉を教えたり小説を載せたり。

小説「統合失調症克服記」完

小説「統合失調症克服記」その十 最終話

十. この話は現実か?妄想か? 僕は女性に声をかけた。 「何を書かれているんですか。」 女性は顔を上げた。 「小説です。」 女性はまた下を向いた。 原稿用紙を見ながら僕に言った。 「あなた閉鎖病室に入っていたのね。」 「そうです。」 「それなら書くこ…

小説「統合失調症克服記」その九

九. さなぎは病棟か?病室か? それから二日間は時間を区切って病室を出ることが出来た。 出られるのは閉鎖区域までだが。 隣の部屋でテレビを見ることも出来た。 時間が来ると病室に戻る。 その他の時間は病室の中で過ごす。 僕は黒い半球に向かって感謝を…

小説「統合失調症克服記」その八

八. 救ったのは精神科医か?教師か? 女性の看護師は手を振りながら部屋を出た。 僕は夕食をすぐに食べ終えた。 その日は隣部屋にあるシャワーを借りて体を洗うことが出来た。 薬のおかげかすぐに眠りについた。 朝になって目が覚めた。 明かりはともってい…

小説「統合失調症克服記」その七

七.その半球は人間か?虫か? 僕は疲れてしばらくベッドに横になった。 その間に蛭子さんが昼食を持って来た。 何を食べたのかは忘れた。 もう夜になっていた。 僕は自分が虫なのかということで頭がいっぱいだった。 ベッドに仰向けになると天井に黒い半球…

小説「統合失調症克服記」その六

六.教室は善か?愛か? 僕はコップを手に取った。 緑のプラスチックでできたコップだ。 半透明で向こうが透けている。 ナースコールの件で喉が乾いた。 水道のボタンを押す。 水がちょろちょろと流れた。 コップに水を注ぐ。 コップから溢れた水が下水へと…

小説「統合失調症克服記」その五

五.ナースコールは原爆か?星か? 壁にナースコールがあることを教えてくれたのは蛭子さんだ。 ナースコールを押すとどうなるのだろうか。 僕は壁からぶらさがっている肌色の円筒状のスイッチに近づいた。 このスイッチを押すと看護師が来るはずだ。 来るの…

小説「統合失調症克服記」その四

四.精神は白いか?黄色いか? 朝食を食べ終えると扉の向こうから蛭子さんの声が聞こえた。 「朝食は終わりましたか。食後の薬を持ってきました。」 蛭子さんの声の調子は温かい。 僕は閉鎖病室の中で唯一気を許せる人だと感じた。 若い看護師は人間なのだが…

小説「統合失調症克服記」その三

三.ブログは清いか?ゴミか?僕は目を覚ました。 部屋の明かりがともっていた。 ベッドから足を下ろす。 悪い夢を見た。 虫が世界中に溢れる夢だった。 気持ちが悪かった。 僕は部屋の掃除をすることにした。 荷物置き場から白いタオルを取る。 タオルを半…

小説「統合失調症克服記」その二

二.あなたは看護師か?ブロガーか? ブログの作成を終えると扉の向こうから声が聞こえた。 「遅くなりましたがお昼です。」 扉が開く。 白身魚とスパイスの香りがした。 プラスチックのトレーが差し出される。 ふくよかな腕がのぞく。 「トレーは後で取りに…

小説「統合失調症克服記」その一

一.この世は本当か?嘘か? 入り口にはアイソレーションルームと書いてあった。 その下には瞑想室と。 「あなたはしばらくこの部屋でお休みください。」 看護師は言った。 僕が部屋の様子を見ていると扉が閉まった。 「いや、まだ話が。」 ガチャ。 冷たい…