① 二、三章の二人以降の湖西豊田道場は・・・新居町体育協会空手部から新極真会へ。前編
明:まず、僕にとっては、先生とでも言うべきお二人のお話をお聞きしたわけですが、この方たちは亡くなられていたり、行方不明になっていたりで、現在は本さんの道場には実際には関係していないんですよね。。
本:うん。時代背景的にはこの二人と早朝稽古していたりしたのは、前世紀末つまり九十年代末で、彼らと道場、新居町体育協会空手部をおこしたのが、2000年だね。二章の彼のお父さんに顧問になってもらってね。
明:町の教育委員長さんでしたっけ。 。
本:その前に幼稚園の園長もしていた人で、教育畑一筋の人で、 「そういう一般社会から弾かれてしまう精神疾患者を生かす試みは応援したい」みたいなことを言ってくれたよね。
明:三人で始めた道場は、本さん以外の人達も普通に就職できるようになって、解散。には、ならなかったんですか? 。
本:もともと、あの二人が社会復帰できなかった場合、その月謝収入を二人の収入にしよう、みたいな考えでやっていて、生徒の募集をかけたら、それでも幼少年で20人くらいは集まったよね。
体協の空手部だから特定の流派ではないし、つまり相手がOKならどこの試合にも出られるし、どことでも交流できるってことで、オープンな感じでね。
明:そこにも精神病の人が集まったんですか?
本:いや、普通の子とか、いわゆる問題児かな。 そこで問題になったのは、我々指導陣の方で。
指導中に統合失調症の症状がでたりして、父兄の間で問題になったりしたよね。
明:子供に教えながら、幻聴が聞こえたり、ですか?
本:つまりそういうことだね。結局、僕がずっとついていないとなんともならなかったりね。
安心を与える存在が側にいると症状がおさまったりするタイプもいるじゃん。
あの時、僕が感じたのは、世間におかしな人はいっぱいいるのに、精神疾患のレッテルが張られているだけで、多くの人は引くよね。
精神疾患の患者に対する蔑視や差別、畏怖ってあるよね。ってこと。
明:あると思いますが、僕は気にしません。
本:それは素晴らしいよね。
明:僕らは普通の人ですよ。
本:うん。病気の症状が出ている時は周囲を驚かせることもあるけど、普段は、普通の人だよね。
まず24時間、フルで激しい症状がでている人はあまりいない気がする。
そこまで行ってると、だいたい病院にいるよね。
明:そうですね。逆に言えば、必要以上に怖がられても、その期待にはおこたえできません。多くの場合は、全然、普通、ですから。
本:うん。少し、話がそれるけど、僕の三つ年下の妹が統合失調症を発症してね。
きっかけは同じ職場で働いている男性職員にストーカー行為を受けたからなんだけど。症状が一番、激しい時は警察を呼ぶような騒ぎを起こしたよ。
止めようとした僕も、火のついたタバコを目に押しつけられそうになったり、同居していた母親は、はがいじめにされて殺されそうになったとかで、なかなか大変だった。
明:それは、大変でしたね。いまは、どうしてるんですか?
本:2020年現在だと、月に一度の注射を打てば、ほとんど症状を抑えられるようになって、月一の注射以外は医師にもあわないし、平和に暮らしているよ。
ごく最近だと別居してるんだけど、週一くらいで電話で僕とも話すし。「お兄ちゃん、元気? みたいな」
僕もはじめ、月一注射でOK? って感じで不安だったんで、その診察の様子を見に行ったけど、ごくごく普通の細さ長さの注射1本打つだけで、あとは簡単なカウンセリングをしてるだけだったね。