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映画と言葉「お葬式」伊丹十三

 

お葬式<Blu-ray>

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  • 発売日: 2011/11/25
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みなさんおはようございます。

 

今回は映画と言葉です。 

伊丹十三監督作品の「お葬式」です。

 

「お葬式」は死んだ爺ちゃんの葬式を取り巻く人々を描く作品です。

「お葬式」から二つの言葉を紹介します。

 

まず、一つ目に紹介する言葉はこちらです。

 

爺ちゃんが病気で急に亡くなった。

悲しいことだが、人間は必ず一度は死ななきゃならんのだから

諦めるしかない。

 

爺ちゃんが死んだことを子供に伝える侘助の言葉です。

人間は必ず一度は死ななきゃならないというのはその通りです。

人間は必ず一度は死にます。

一度も死なない人はいません。

 

僕がこの映画になんだか奇妙なものを感じたのは、この言葉辺りからです。

この映画は基本的に、爺ちゃんの死を受け止める人々を描きます。

 

しかし、僕はこの言葉辺りから

特別なはずの葬式が、段々と日常に見えてきました。

 

どうして特別なはずの葬式が、段々と日常に見えてきたのかと言えば、

それは葬式の中でも生きた人々を見るからです。

 

葬式は特別です。

しかし、生きた人々は特別ではありません。

 

この映画の中で特別なのは、死んだ爺ちゃんだけです。

その他の人々は、特別な場面に遭遇した生きた人々です。

 

要するに、

この映画では死んだ爺ちゃんではなく、

生きた人々を見るのです。

 

そして、死んだ爺ちゃんは棺桶の中にいます。

ですが、死んだ爺ちゃんを取り巻く人々は、私たちを含めて棺桶の外にいます。

 

死んだ爺ちゃんを取り巻く人々は、私たちを含めて、棺桶の外にいるからお葬式が物語になるのです。

死んだ爺ちゃんは棺桶の中にいるから物語になりません。

 

僕はこの映画は普遍的な「死と生」を描いた作品だと感じました。

 

続いて、二つ目に紹介する言葉はこちらです。

 

俺たちとしてはさ、やっぱ。

生き返られるのがさ、一番怖いんだよね。

夢を見ることがあってさ。

俺がガスに火をつけると、中の仏がガバッと起き上がるんだ。

俺は、いけないと思ってガスを消そうと思うんだけど、

体が動かない。

仏は炎の中で燃えながら、俺をじーっと睨んでるんだ。

そういう夢。

 

火葬場の職員が、

親族に遺体を焼くときの心中を聞かれて答えた言葉です。

 

僕はこの言葉に面白さを感じました。

どうしてこの言葉に面白さを感じたのかと言えば、

それは、遺体が火葬場まで来て生き返ることは無いのに、

この火葬場の職員が、遺体が生き返ることに怖がったからです。

 

つまり、この火葬場の職員は

いつも万が一、遺体が生き返ることを考えているということです。

 

その万が一、遺体が生き返ることを考えているということは、

普通は遺体が生き返ったら嬉しいはずなのに、この火葬場の職員だけは怖がるという面白さを含みます。

 

この火葬場の職員は遺体が死んでくれていた方が嬉しいという、

普通とは違う感覚を持っています。

僕はこの火葬場の職員がその普通とは違う感覚を持っているところに面白さを感じました。

 

この映画は お葬式という本来なら暗くなりそうなテーマの映画です。

ですが、この映画は死んだ爺ちゃんを取り巻く人々にほんの少し明るさを感じる映画でした。

 

次回は伊丹十三監督作品続きで「たんぽぽ」を予定しています。

 

最後までお読み下さりありがとうございました。

 

 

明読斎

 

 

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