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映画と言葉「スーパーの女」伊丹十三

伊丹十三DVDコレクション スーパーの女

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  • 発売日: 2005/09/22
  • メディア: DVD

みなさんおはようございます。

 

今回は映画と言葉です。

 

伊丹十三監督作品の「スーパーの女」から二つの言葉を紹介します。

 

スーパーの女」はスーパー正直屋を営む同級生と偶然再会した主人公が、

傾いたスーパー正直屋の経営を立て直す作品です。

 

まず一つ目に注目したい言葉はこちらです。

 

「卵ワンパック28円で正直屋は嘘をつきません。」

「嘘ばっかり!だからスーパーって嫌いよ。」

 

この「嘘ばっかり!だからスーパーって嫌いよ。」という言葉は、

スーパー正直屋が嘘偽りなく卵をワンパック28円で売ると宣言したときに、

誰ともなく聞こえる言葉です。

この言葉がこの映画のテーマのように思えます。

 

当時は、企業コンプライアンスなどはまだ浸透していません。

多少?のごまかしが横行していたようです。

 

そんな中で、買い物をする当時の主婦たちが密かに抱いていた心の声が、

この言葉となって表れているように思いました。

 

主人公はスーパー正直屋にはびこる嘘を手放すことで

経営を立て直します。

 

じゃぁ、具体的にどのように嘘を手放すのか?

その答えが次の言葉に表れています。

 

あんた職人の立場とお客様の立場とどっちが大切なのよ?

スーパーはお客様のための商売だよ。

店のためにお客様があるんじゃない。

お客様のために店があるんだよ。

 

お店はお客様のためにある。

今では当たり前のことです。

ですが、当時はお店のためにお客様があるという

ことがまかり通っていたようです。

 

どうしてスーパー正直屋に嘘がはびこってしまったのか?

その答えがこの言葉に表れています。

 

お客様のためのお店か?

それともお店のためのお店か?

 

お客様の立場を大切にしたスーパー正直屋と、

お店の立場を大切にしたライバル店の安売り大魔王。

 

ラストにどのような結末を迎えたのか?

その答えは容易に想像がつきます。

 

この映画を貫く「嘘と正直」というテーマ。

正直であろうとすることは痛みを伴います。

 

嘘をつくことはとても楽です。

しかし、正直でいることはとても辛いです。

 

私たちは正直でいることがとても辛いからこそ嘘をつきます。

 

周りを見渡せば、今でも

あんな嘘、こんな嘘。

色々な嘘が目につきます。

 

この映画が問いかけることは、 

私たちが、相手の立場と自分の立場、

どちらの立場を大切にするのか?

ということだと思います。

 

要するに

私たちが正直を貫いてスーパー正直屋になるのか?

それとも、嘘を貫いて安売り大魔王になるのか?

ということです。

 

私が今にわかに感じいていることですが、

今までは正直者が馬鹿を見る世の中だったように思います。

しかし、今は

嘘をつく者が馬鹿を見る世の中が産声を上げているように感じます。

 

だからこそ、

私は嘘をひとつひとつ手放したいと考えます。

スーパー正直屋は、

私のことであり、私の周りのことであり、

私たちの社会のことのように思えます。

 

正直な道を歩くことは大変です。

ですが、ラストにきっと素敵な結末を迎えられると考えます。

 

次回は伊丹十三監督作品続きですが「お葬式」を予定しています。

 

お読みくださりありがとうございました。

 

明読斎

 

 

 

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